濱野くんの論文

最近、リアルな仕事で忙しくほとんどネットを見なくなってしまったもので、ブログの更新が滞りすみません。
そんな状況なのですが、濱野くんが最近「10+1」に寄せた論文、すぐれていたので紹介しておきます。
http://tenplusone.inax.co.jp/monthly/2009/09/post.php
これ、じつは早くも、『思想地図』次号に掲載される某氏の投稿論文への反論になっているのですよね。このあいだの飲み会の会話がこんなに早くフィードバックされるとは!(笑) まあ、その文脈は『思想地図』発売のあとのお楽しみということで。
>某氏
投稿論文、よかったらこれをどこかの註釈で触れてみてください。

ところで『思想地図』も含めた昨今の動き、どうも朝日新聞では「プチ思想ブーム」とか呼ばれて揶揄されているようです*1
しかし、ネットやサブカルの話題を扱っているだけで「プチ」と括ってしまう(裏返せば、マルクスとかデリダとか言っておけば重厚だということになる)ような偏見は、この濱野論文のような真の意味で知的で批評的な仕事が蓄積することで、今年から来年にかけて通用しなくなっていくことでしょう*2。『思想地図』4号を含め、ぼくのまわりでは、この半年ほどかなり急速に状況が動いています。
ぼく自身も、再来月より講談社の広報誌『本』で新連載を始める予定です。タイトルは『一般意志2.0』。ご期待ください。

*1:http://book.asahi.com/clip/TKY200909260077.html。いえ、それでも注目していただいたのは嬉しいんですけどね……。でもなぜ「プチ」が必要なのかわからないなあ。

*2:ちなみに同記事でぼくが首を傾げてしまったのは、『ニッポンの思想』の著者、佐々木敦氏がなぜか上から目線でそのプチ思想ブームを批判していること。佐々木さん、でもご自身の『ニッポンの思想』は、まさにそのブームに寄り添って、そのブームの解説として部数重視で書かれたものなのでは? むろん、ぼくはそのスタンスはありだと思うのですが、であればどうしてああいうコメントなのか。いずれにせよ、プチ思想ブームが「部数重視の市場主義が強まり、一様になって「面白くない」」とおっしゃった以上、次の著書では、ぼくたちプチ論客など相手にしない、『思想地図』を一瞬で粉砕するような刺激的な思想書を見せていただけるものと期待します。