ゼロアカ最終結果、発表になりました

1年半続いた「東浩紀ゼロアカ道場」ですが、ついに最終関門の審査が終わり、通過者が決定しました。
http://shop.kodansha.jp/bc/kodansha-box/zeroaka/kanmon_06.html
以上で発表されているように、最終通過者は村上裕一くんです。

村上くんの論文は、公開されているPDFを読まれればわかりますが、いわゆる「批評」とはちょっと異なり、「2ちゃんねる時代のニューエイジ哲学」とでもいった趣きの文章です。
ですから、読者によっては、拒否反応を示すひともいるかもしれない。しかしぼくは、これは出版に値する試みだと思います。そしてまた、ゼロアカでしか世に問えないテクストでもある。その意味で、まさにゼロアカに相応しい結果になったと言えるでしょう。
ただ、残念ながら現時点では、筆者の思惑が先走りすぎて、いささか読みにくい文章であることも事実。出版に先だってかなりの見直しを指示しているので、出版までには欠点も改善していることを期待します。

なお、最後まで生き残り、惜しくも落選してしまった坂上秋成くんですが、彼もとてもよくがんばっていました。最後に提出した論文など、かなりよくなっています。
坂上くんの文学と批評に掛ける情熱は本物です。彼にもまた、おそらくゼロアカとはまた別の機会で会うことになるでしょう。

いや、彼だけではない。ゼロアカは、惜しくも最終選考には残らなかったものの、何人もの書き手を輩出しましたし、また、多くの潜在的な書き手にも希望と刺激を与えたのではないかと思っています。「2008年のあのゼロアカを見て、ぼくは評論を書き始めたんです」――そんなふうに言ってくれるひとが、5年後、10年後に現れることを、いまから楽しみにしています。

というわけで、この1年半、批評界を騒がせたゼロアカですが、これで終わりました!*1
ゼロアカを応援してくださったみなさん、ありがとうございます! と同時に、これからは村上くんのデビュー作をご期待ください!

*1:正確には、このあと村上くんとぼくの対談動画が発表されるはずですが、本当にそれで選考過程のコンテンツは最後です。