アメリカより

こんばんは。こちらではおはようの東浩紀です。いまミシガン州のAnn Arborという町にいます。
連日のスケジュールがなんとも過酷で、ブログの更新ができずすみません。朝は宮台さんとほか翻訳者ふたりと飯を食って打ち合わせ、そのあとイベントに行くか飛行機に乗ってどこかに移動して夜は夕食会、酒も入っているし時差ぼけでホテルに帰るとすぐに寝る、みたいな生活がつづいています。いまも朝食のあとの1時間ぐらいの自由時間の合間を縫って書いています。とりあえず、AASでのパネルとテキサス大学でのワークショップ(学生を交えての公開授業みたいなもの)はうまく行きました。今日はこれから、ミシガン大学でのワークショップが待っています。
ところで、事前には予想していなかったのですが、この旅行のあいだ、宮台さんとぼくのあいだではきわめて濃密なコミュニケーションが生じており、わずか数日で共通の仕事のプランもいくつか生まれてきました。宮台さんとぼくは、移動中も、ホテルに戻ってもぶっ通しで何時間も話し合い続けており、こんな経験はあまりありません。
このことには、ただ交友関係が深まったという以上の意味があります。あらためていうまでもなく、宮台さんの読者とぼくの読者はこの10年のあいだ重なり続けてきました。しかし、じつのところ、その本人たちは、なぜ自分たちが同じ読者層に読まれているのか、理由をよくわかっていなかった。なぜならば、ぼくたち自身の目からは、二人の仕事はかなり離れているように見えていたからです(ぼくたち、とくくるのは、一世代上の宮台さんに失礼かもしれませんが、あえてそのように書きます)。
しかし、その共通性が、日本の読者とは異なった聴衆をまえに、異なった文脈のなかで話すことで、なによりも自分たち自身にとって明確になってきたのです。本来の旅行の目的から離れてしまいますが(いや、本当はまったく離れていないのですが、それを説明すると長くなるのでここではそういうことにしておきます)、これはじつに大きな収穫だったように思います。「共通の仕事のプラン」なるものがなにかは、そのうちお知らせします。
最後にスナップ写真を。

テキサス大学でのワークショップのあとで撮影した写真です。オースティンはとてもあたかかく、いいところでした。キャンパスのなかをリスが走り回っていたのですが、こちらではリスはネズミと同じく害獣という扱いらしく、ぼくが写真を撮っていたら首を傾げられました。
奥右端の赤い服の女性が、今回のワークショップのホスト役だったKirsten Cather教授、左端のメガネの男性が「動物化するポストモダン」英訳者(のひとり)のJonathan Able氏です。