思想地図/新建築

ちょっと油断するとオタク電波を受信しがちのぼくですが、『思想地図』第3号の編集も着々と進めています。寄稿も集まり始めています。
まずはお知らせですが、じつは次号では円城塔氏に短編(論文ではなくて小説)を寄せてもらっています。そしてこれがじつにすばらしい。例のシンポジウム「アーキテクチャと思考の場所」への応答になっているとともに、『Boy's Surface』のような思弁的で奇妙な恋愛小説にもなっています。円城氏の作品のなかでも、一、二を争うものなのではないかと思うので、ぜひお読みください。
他方、今回はまた福嶋亮大くんにご登場願っているのですが、こちらの村上春樹/東方論もたいへんすぐれています。先日乱入したGEISAIのスーパー☆ラルクブースの黒瀬くんとの対談で、ぼくはメガホン片手に「ゼロ年代には、大文字の、すなわちコンセプチュアルな文学/芸術は死んで、その外部のジャンクを次々と文学認定、芸術認定することが流行したが、本当に重要なのはその外部こそがコンセプチュアルだったのだ、というコンセプトそのものの価値転倒なのだ」というようなことを述べていますが、その価値転倒の道具は、具体的には福嶋くんたちの仕事によって少しずつ整い始めている。そんな福嶋くん、黒瀬くんとは、来月4月24日、「ポストゼロ年代の思想」と称して小さなトークショーを行うことになりました。詳細が決まったらお知らせします。
あと、『思想地図』絡みでお知らせしておきたいのが、『新建築』3月号に掲載の磯崎新氏による論文「<建築>/建築(物)/アーキテクチャー」。これを読むと、先日のシンポの問題提起が磯崎氏のなかでどのように理解され、どのような問題系と繋がっているのかよくわかります。たいへん興味深く拝読すると同時に、磯崎さんとは、今度は司会者の枠を離れて、もういちどゆっくりとお話したいと思いました。ぼくのほうから投げ返すことのできるボールも、まだいくつか残っているように思います。
取り急ぎお知らせまで。