ソーカル@ファウスト計画を考える

ファウスト新人賞の公募が1980年以降生まれのみを対象にしている、ということに対して憤りを表明しているサイトをいくつか見る。その気持ちは分かるが、しかし、これはあまりにナイーブすぎる受け取り方ではないだろうか。実際の投稿受付でいちいち住民票や学生証の提出を求められるとも思わないし、作家のなかには年齢不詳や正体不明の人もたくさんいる。つまり、あれは、「この雑誌でデビューする作家は1980年代以降生まれということにしてくれ」、というO田氏のメッセージ(ネタ?)以上のものではないのだ。だから、あの年齢制限に怒りを覚えたひとは、単に、年齢を偽ってファウスト新人賞をゲットし、印刷後実年齢を発表してO田氏を青ざめさせればいいのである。いわばファウスト版のソーカル事件だ。逆に、それくらいの芸ができれば、O田氏も笑って応援してくれることだろう。
それはそれとして、ファウストの(いまのところの)読者層の中心は、1980年代生まれよりはどちらかというと1970年代生まれ、おそらくは僕の年齢を中心としてプラス5歳マイナス10歳くらいの幅の人々ではないかと思う。執筆者の年齢を見てもそんなもんだろう。10代の読者がどれくらい掴めるのか、それは今後の動向を見ないと分かるまい。